引用元: ・「30分で80%」って聞いてたのに半分しか充電されない……使えねぇEVカー [662593167]
■EVの充電速度は条件によって変わる急速充電器の性能をフルにはっきさせるにはさまざまな条件をクリアする必要がある。
電気自動車(EV)の普及が進んでいる。ガソリン車に比べて環境に優しく、ランニングコストも低いEVは、まさに次世代のクルマのスタンダードとなりつつある。
そんなEVを選ぶうえで、多くの人が気にするポイントのひとつが「充電時間」だろう。ガソリン車であれば、ガス欠寸前でも数分の給油で再び走り出すことができる。しかし、EVの場合は、充電に少なからず時間がかかってしまうのが現状だ。
EVには“普通充電”と“急速充電がある。一般的に、EVでは「30分で80%まで充電可能」といった謳い文句を目にする機会も多い。
これは“急速充電”の場合だ。しかし、これには注意が必要だ。じつは、メーカーが提示する急速充電時間は、あくまで「理想的な条件下」での数値なのである。今回は、その背景にある技術的な要素と、ユーザーが知っておくべきポイントを解説しよう。
<「30分で80%」は最良の条件下での数値>
EVの急速充電において、メーカーが公表する充電時間は、もっとも理想的な条件下での値である。具体的には、以下の条件が整った状況での測定値となる。
<充電器側のスペックが決め手>
EVの充電速度を左右する重要な要素として、充電器自体の性能もある。現在、日本の急速充電器の主流は50kW出力だが、最新の急速充電器のなかには150kW出力のものも増えている。 しかし、EV自体が150kWでの充電に対応していなければ、大出力の充電器を使用しても意味がない。ちなみに、日産サクラの急速充電の受入最大能力は30kWだ。そのため、最大出力50kWの急速充電器を利用しても、ましてや150kWの急速充電器でも、30分の充電量は最大で15kWh程度が目安となる。
また、その逆もある。たとえば、ある電気自動車が150kWでの充電に対応していても、充電器の出力が50kWであれば、そのスペックに合わせた充電速度となる。つまり、車両の充電能力を最大限活用するためには、対応する高出力の充電器を選ぶ必要がある。
テスラは、独自の急速充電器スーパーチャージャーを全国に設置していて、現在75kWから最大250kWの出力で充電できる。しかし、国内標準のCHAdeMO急速充電器を利用する場合、専用のアダプターを使用しなければならず、その場合、最大で50kWでしか充電できない。
加えて、高出力の急速充電器でも、隣でほかのEVが充電を始めると充電出力を“シェア”してしまい、出力が低下する場合がある。複数の急速充電器がある場合は、なるべく離れた充電器を利用するようにしたほうがいいだろう。
「30分で80%まで充電可能」といった謳い文句は、EVの普及を促進するうえで、非常に魅力的なセールスポイントであることは間違いない。しかし、その裏には、車種の充電性能、バッテリー容量、充電環境、充電器のスペックなど多くの要因によって変化するという、重要な事実が隠されている。
EVの購入を検討する際は、カタログに記載されている情報だけでなく、自身のライフスタイルに合った充電環境が整っているかどうかも、しっかりと見極めるようにしたい。