日本IBMは2025年2月7日、NHKから「営業基幹システム」の開発プロジェクトに関し提訴されたことを受けて、Webサイトで声明を発表した。
同プロジェクトで開発していた営業基幹システムは、顧客の契約情報や支払い情報など受信料業務全般を担うシステムだ。NHKは2022年12月に日本IBMへ発注していたが、開発遅延などを理由として2024年8月に契約を解除。支払い済み代金の返還や損害賠償として、日本IBMを相手取り54億6992万7231円の支払いを求める訴えを2025年2月3日付で東京地方裁判所に起こしていた。
日本IBMの声明によると、現行の営業基幹システムを解析したところ「提案時に取得した要求書では把握できない、長年の利用の中で複雑に作り込まれた構造となっていることが判明した」(声明文)という。日本IBMはNHKに対し、解析の進捗状況や課題、その対応策などを「随時報告し、共にその対応を検討してきた」(同)とする。そして当初予定していた2027年3月までの移行にリスクが伴うことをNHKに伝えた。
日本IBMは2024年5月、NHKに対し予定通りの納期では「品質を確保した履行は困難であることを報告」(同)し、複数の代替策を提示した。NHKはこれらを踏まえて、契約解除を決定したという。その後、日本IBMは2024年夏から2025年1月まで「より確実な移行方式の実現に向けた建設的な協議の開始について幾度も申し入れた」(同)が、NHKは協議に応じず訴訟提起に至ったとしている。
日本IBMは「これまでと変わらずNHKと協議の継続を希望する」(同)としつつ、「訴状の内容も検討し、裁判の中で当社のこれまでの対応と見解を主張していく」(同)とした。NHKは2025年2月7日、日本IBMの声明に対して「追加のコメントは特にない」(広報)とした。
NHKは2024年4~9月期決算で、ソフトウエア仮勘定に計上していた「システムレガシーマイグレーション」の固定資産28億5786万円を減損処理し、特別支出(特別損失)として計上していた。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/24/02151/
引用元: ・NHK、システム開発中止し赤字分を支払えと提訴 → IBM「幾度も建設的な協議開始を申し入れたのに!」 [897196411]
NHKの声明 ※PDFです
https://www.nhk.or.jp/info/otherpress/pdf/2024/20250204.pdf
IBMの声明
https://jp.newsroom.ibm.com/2025-02-07-Regarding-the-Suspension-of-the-NHK-System-Development-and-Migration-Project
システム開発中止で日本IBMへの損害賠償請求が相次ぐ背景…NHKも
https://biz-journal.jp/company/post_386344.html
(抜粋)
「どんなに要件定義や設計の段階で仕様を固めても、実際に開発を進めていくと当初の見積もり以上の工数がかかる作業が多かったり、現場の業務フローや他システムとの接続・連携の兼ね合いで仕様を変更せざるを得なくなるということは、珍しいことではありません。発注元企業のなかでIT部門やシステム子会社が、各部門の要件を十分にまとめきれていなかったり、業務フローの変更についてきちんと合意を得られないまま突っ走ってしまい、各部門から反発を受けて仕様のほうを変えざるを得なくなるということも、よくあります。
そうした目論見違いが潰していけるレベルで収まればなんとか開発を進行させることができますが、規模や頻度が一定レベルを超えるとプロジェクトの進捗に支障が生じ、ベンダー側で工数増加やスケジュールの伸長が生じて、発注元企業は追加費用や開発の進め方の大幅な見直しを求められるということになります」
「多額の損失が発生するような大規模システム開発を元請けベンダーとして引き受けることができる企業というのは、国内だと日本IBMや富士通、日立製作所、NTTデータ、アクセンチュア、金融関連システムだと野村総研など数えるほどしかなく、必然的にこれらの企業に案件は集中するので、失敗する大きな案件を担当するベンダーはこれらのうちのどれかになる可能性が高いということになります。また、日本企業のベンダーは、体質的に顧客から無理難題を押し付けられても、ある程度なら対応してしまうという傾向がありますが、外資系ベンダーは『それは契約外なのでできない』『追加費用がかかります』とドライな対応をする傾向があり、そうした点も今回のように裁判に発展する結果につながった可能性もあるかもしれません」
具体的背景は分かんないけどNHKは無理筋を通そうとしてるんじゃないかね